インフルエンザ
インフルエンザとは
インフルエンザウイルスの感染によって起こる急性の呼吸器感染症です。
一般的な風邪の多くは、のどの痛みや鼻水などの局所的な症状からゆっくりと始まりますが、インフルエンザは38度以上の高熱と強い全身症状を伴って急激に発症するのが特徴です。
原因(感染経路)
インフルエンザは、インフルエンザウイルス(主にA型・B型)が体内に侵入することで感染します。非常に感染力が強く、主に以下の2つの経路で広がります。
感染者の咳やくしゃみのしぶきを直接吸い込むことで感染します。
ウイルスが付着したドアノブなどに触れ、その手で鼻や口に触れることで感染します。
💡 感染を広げないために
インフルエンザは潜伏期間中や発症直後から非常に強い感染力を持ちます。手洗いやアルコール消毒の徹底、咳エチケット(マスク着用)が、自分と周囲を守るために重要です。
発症
ウイルスが体内に侵入した後、約1〜3日間の短い潜伏期間を経て突然発症します。
疲労やストレスの蓄積、睡眠不足などによって体の免疫力が低下している状態だと、ウイルスが増殖しやすく、発症するリスクが高まります。
症状
風邪に比べて「急激に強い症状が出る」のがインフルエンザの特徴です。症状は大きく分けて以下の3つのグループに現れます。
- 38度以上の急な高熱・強い悪寒
- 全身の関節痛、筋肉痛
- 起き上がれないほどの激しい倦怠感
- 強い頭痛
※全身症状に少し遅れて現れます
- のどの激しい痛み
- 乾いた咳、鼻水
- 鼻づまり
- 吐き気、嘔吐
- 腹痛、下痢などの消化器症状
- 元気がない、食欲の低下
⚠️ 「ただの風邪」との見分け方
普通の風邪は、まず「のど」や「鼻」から始まりますが、インフルエンザは「熱と節々の痛み、だるさ」が最初に来ることが多いのが最大の見分け方です。
検査
| 検査・診断方法 | 検査の内容 | 特徴・判定時間 |
|---|---|---|
| 問診 | 対面での診察 | 症状の経過(急な発熱など)や、職場・学校・家族などの周囲の流行状況を確認し、総合的に判断します。 |
| 迅速抗原検査 | 鼻腔粘液の採取 (鼻に綿棒を入れます) |
約10〜15分でA型・B型の判定が可能です。必要に応じて新型コロナウイルスとの同時検査も行います。 |
⚠️ 検査を受けるタイミングにご注意ください
発熱直後などは体内のウイルス量が少なく、感染していても「陰性(偽陰性)」と出てしまうことがあります。より正確な診断のため、発症から12時間以上(半日程度)経過してからの受診をお勧めしています。
治療
インフルエンザはご自身の免疫力で自然に回復することも多い疾患ですが、発症から48時間以内に「抗インフルエンザ薬」を使用することで、発熱期間が短くなり、症状が軽くなる効果が期待できます。併せて、解熱鎮痛剤などを用いた対症療法を行います。
インフルエンザの治療薬について
当院では、患者様の年齢、症状(嘔吐の有無など)、持病の有無を考慮して最適な治療薬を選択します。主な抗インフルエンザ薬の特徴は以下の通りです。
内服薬
タミフル
用法:1日2回、5日間内服します。
長年の実績があり安定した効果が期待できます。ジェネリック医薬品があるため、費用が最も安価です。
(3割負担の目安:約340円)
吸入薬
リレンザ
用法:1日2回、5日間吸入します。
粉末を口から吸い込むお薬です。飲み薬が難しいお子様などに適していますが、喘息等の呼吸器疾患がある方は注意が必要です。
(3割負担の目安:約720円)
吸入薬
イナビル
用法:1回の吸入で治療が完了します。
1回で済むため飲み忘れの心配がありません。嘔吐がある方や、何度も薬を使うのが負担な方に適しています。
(3割負担の目安:約1,300円)
内服薬
ゾフルーザ
用法:1回の内服で治療が完了します。
比較的新しいお薬で、ウイルスの排出量を早期に減らす効果に優れています。主に12歳以上の方に使用が推奨されます。
(3割負担の目安:体重により約1,500円〜3,000円)
- 漢方薬(麻黄湯): 抗ウイルス薬を使用しない場合や併用する際に、症状を和らげる目的で処方することがあります。
- 点滴薬(ラピアクタ): 外来での取り扱いはありません。重症で入院が必要なケースなどで用いられるお薬です。
予防
インフルエンザから身を守るためには、事前の備えと日々の習慣が重要です。以下のポイントを心がけましょう。
感染を完全に防ぐことはできませんが、発症や重症化のリスクを大きく下げることができます。本格的な流行が始まる前の12月中旬までの接種が推奨されます。
こまめな手洗い、うがい、手指のアルコール消毒を徹底しましょう。
人混みや公共交通機関を利用する際は、不織布マスクの着用が有効です。
十分な睡眠とバランスの良い食事をとり、ウイルスに負けない体を作ります。
空気が乾燥すると粘膜が弱まります。湿度50〜60%を目安に維持しましょう。
注意点
異常行動への注意: 抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず、インフルエンザにかかった若年者(特に10歳前後)は、発熱から2日間は異常行動(急に走り出す、部屋から飛び出そうとする等)のリスクが高くなります。療養中は患者様を一人にしないよう十分な配慮が必要です。
療養期間の目安: 学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」を出席停止期間と定めています。社会人の方も周囲への感染を防ぐため、この期間に準じた外出自粛が推奨されます。
