睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、極端に浅くなったりする状態を繰り返す疾患です。
医学的には、「10秒以上呼吸が止まる状態(無呼吸)」や「呼吸が弱くなる状態(低呼吸)」が、睡眠1時間あたり平均5回以上発生する場合にSASと診断されます。

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の簡易検査、およびCPAP(シーパップ)療法などによる治療を行っております。睡眠中の無呼吸は質の高い睡眠を妨げるだけでなく、慢性的な酸欠状態によって心臓や血管に多大な負担をかけ、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの重大な合併症を引き起こす原因となるため、適切な検査と継続的な治療が必要です。

睡眠時無呼吸の主なタイプ

発症のメカニズムによって主に3つのタイプに分類されます。最も多く見られるのは、気道が物理的に塞がる「閉塞性」のタイプです。

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閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) 読み:オー・エス・エー

睡眠中に喉の筋肉がゆるみ、空気の通り道(気道)が物理的に塞がってしまうタイプです。狭くなった場所を空気が無理やり通る際に出る音が「いびき」です。

📍 身体的な原因
  • 肥満による首回りの脂肪
  • 顎が小さい、扁桃が大きい
  • 痩せ型でも、骨格的に気道が狭い日本人は要注意
🍷 生活習慣などの原因
  • 就寝前のアルコール・睡眠薬の服用
  • 仰向けでの就寝(舌の付け根が落ちやすいため)
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中枢性睡眠時無呼吸(CSA) 読み:シー・エス・エー

気道は塞がっていませんが、脳から「呼吸をせよ」という指令が一時的に出なくなることで呼吸が止まるタイプです。心不全や脳卒中などの基礎疾患に伴って発症することが多く、生活習慣との関連は薄いのが特徴です。

混合型: 上記の「閉塞性」と「中枢性」の両方のメカニズムを併せ持つタイプです。

症状

SASの症状は、寝ている間だけでなく日中のパフォーマンスにも大きく影響します。特に「いびき」と「日中の眠気」は重要なサインです。

🌙 睡眠中に現れる症状
  • 激しいいびき(家族に指摘される)
  • いびきが突然止まり、数秒後に大きく息を吹き返す
  • 息苦しくて目が覚めることがある
  • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿
  • ひどい寝汗をかく
☀️ 日中に現れる症状
  • しっかり寝たはずなのに疲れが取れない
  • 起床時に頭痛がする
  • 会議中や運転中など、日中に強い眠気に襲われる
  • 集中力や記憶力が低下していると感じる
  • やる気が出ない、イライラしやすい

本人は寝ているため、無呼吸に気づかないことがほとんどです。
「家族のいびきが止まる」「日中いつも眠そうにしている」などの変化に、周りの方が気づいてあげることが早期発見への第一歩です。

睡眠時無呼吸症候群の合併症

放置すると毎晩の「無呼吸による酸欠」と「呼吸再開時の脳の覚醒」が繰り返されることで、交感神経が常に緊張した状態になり、全身に深刻な合併症を引き起こします。 重症のSASを放置した場合、健康な人と比べて高血圧の発症リスクが約2倍、脳卒中や心筋梗塞のリスクが約3〜4倍に跳ね上がると言われています。

検査と治療への流れ

SASが疑われる場合、まずはご自宅でできる「簡易検査」からスタートします。検査結果(AHI:1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数)に基づき、最適な治療方針を決定します。

1 簡易検査(簡易型PSG)

自宅で就寝時に指先や鼻の下にセンサーを取り付け、呼吸状態や酸素濃度を測定します。

▶ AHI 40以上(重症)

直ちにCPAP(シーパップ)療法の保険適用となります。

▶ AHI 40未満

より詳細な判定のため、次のステップ「精密検査」へ進みます。

2 精密検査(精密PSG)

脳波や眼球運動などを追加し、睡眠の質や無呼吸の深さを正確に評価します。

▶ AHI 20以上(中等症以上)

CPAP(シーパップ)療法の保険適用となります。

▶ AHI 20未満(軽症)

マウスピース(OA)療法や、生活習慣の改善が治療の選択肢となります。

用語解説:AHI(無呼吸低呼吸指数)
睡眠1時間あたりに「10秒以上呼吸が止まる、または浅くなる」回数のことです。この数値が高いほど、体への負担が大きいと判断されます。

治療

症状の重症度や原因に合わせて、生活習慣の改善、または医療機器(CPAPやマウスピース)を用いた治療を行います。

🏠 生活習慣・睡眠環境の改善
⚖️ 減量 肥満が原因の場合、体重を減らすことで首回りの脂肪が減り、気道の閉塞が劇的に改善することがあります。
🛌 横向きで寝る 仰向けを避けることで重力による舌の落ち込みを防ぎます。抱き枕などを用いた「側臥位睡眠」が有効です。
🍷 飲酒・薬の制限 アルコールや睡眠薬は筋肉を過剰にゆるませ、気道を塞ぎやすくするため、就寝前の使用を控えます。
🌬️

CPAP(シーパップ):持続陽圧呼吸療法

CPAP治療の様子

※治療のイメージ(帝人株式会社WEBサイトより引用)

閉塞性睡眠時無呼吸に対して最も一般的で、有効性が高く推奨されている治療法です。

就寝時に鼻に専用のマスクを装着し、機械から持続的に空気を送り込んで気道に圧力をかけ、塞がるのを防ぎます。

🏥 保険適用の基準

簡易検査で無呼吸回数が1時間あたり40回以上、または精密検査で20回以上を満たす場合に保険適用となります。

🦷

マウスピース(口腔内装置:OA)

就寝中に下顎を少し前に出した状態で固定し、重力で舌が落ち込むのを防いで気道を広げる方法です。コンパクトで持ち運びがしやすいため、旅行や出張が多い方にも適しています。

✅ 適している方
  • 重症度が低く、CPAPの保険適応とならない方
  • CPAPのマスク装着が体質的に合わない方
  • 出張や旅行が多く、機械の持ち運びが難しい方
⚠️ 注意点
  • 治療効果には個人差があります
  • 起床時に顎の痛みや噛み合わせの違和感が出ることがあります
  • 作成は専門の歯科医院へ依頼する必要があります

※長期的な使用によって歯並びが変化する可能性があるため、定期的に歯科医院でチェックを受けることが不可欠です。

🩺 その他の治療法(手術など)

空気の通り道を広げるための外科的なアプローチです。これらは専門設備を備えた施設での対応となります。

  • 上気道手術: 扁桃肥大などに対して、物理的に気道を広げます。
  • 顎矯正手術: 骨格的な要因(顎の小ささ)を改善します。
  • 植え込み型舌下神経刺激療法: 神経を刺激して舌の沈み込みを防ぐ最新の治療です。
⚠️ レーザー治療に関する注意点

いびき治療として行われることの多い「レーザー治療」については、現時点で閉塞性睡眠時無呼吸(SAS)に対する有効性は医学的に確立されていません。安易な判断は避け、専門医との相談をお勧めします。

注意点

CPAP療法において最も注意すべき点は、「眠気がなくなったから」「いびきをかかなくなったから」といって、自己判断で装置の使用をやめないことです。

CPAPは視力矯正のメガネと同じ「対症療法」であり、気道の狭さそのものを根本的に治すものではありません。装置を外して寝れば、再び無呼吸状態となり血管へのダメージが再開します。心筋梗塞や脳卒中を防ぐためには、毎晩継続して使用することが不可欠です。

予防

日々の生活習慣を少し見直すだけで、無呼吸の発症を防いだり、今ある症状を軽くしたりすることが可能です。

⚖️
適正体重の維持(減量)

首回りの脂肪を減らすことで、物理的に気道が狭くなるのを防ぎます。数キロの減量でも効果が現れることがあります。

🛌
横向きで寝る習慣

仰向けは重力で舌が落ち込みやすくなります。抱き枕などを活用し、横向き(側臥位)で寝る工夫をしましょう。

🍷
就寝前の飲酒を控える

お酒は喉の筋肉を弛緩させ、気道を塞ぐ原因になります。晩酌は早めに切り上げるか、適量を守りましょう。

💊
睡眠薬の自己判断を避ける

睡眠薬にも筋肉をゆるめる作用があります。服用を検討される際は、必ず医師に相談してください。

「ぐっすり眠れた」という実感を大切に。
睡眠環境を整えることは、日中の活力と将来の健康を守る投資です。

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